消化器外科専門医のブログ

消化器外科を専門にする中堅医師です.消化器(食道,胃,大腸,肝臟,胆嚢・胆管系,膵臓)のがんや手術を要する急性疾患,緩和医療などの診療を行っています.特に肝臓外科が専門分野です.日々の学びや,自分の成長につながること,頭のなかで考えたことを中心に記しています.

130903 発熱の原因

肝切除後の発熱の原因

3大原因

1: 胸水貯留

肝の脱転・授動操作などによって反応性に淡血性の胸水貯留が起こる。

報告では肝切除の約20%に胸水貯留が起こり、そのうちの90%に37℃以上の発熱が起こる。

2: カテーテル感染

当科ではルーチンに中心静脈カテーテルを留置していないが、留置している場合は常に原因となることを念頭に置く。また末梢カテーテルでも発熱の原因となる場合があり、疑われれば入れ替える。

3: 肝切離面のドレナージ不良

ドレナージできない腹水の貯留が発熱の原因と考えられた場合は、エコーガイドあるいはCTガイド下に穿刺しドレナージする。

 

その他の原因 

参考文献:Fever in the Intensive Care Unit of king hussein medical center

1: 感染性合併症で頻度の高いもの

  • 腹腔内膿瘍
  • カテーテル感染
  • 肺炎
  • 尿路感染症
  • 創感染
  • C. Difficileによる下痢

2: 非感染性合併症で頻度の高いもの

  • 術直後(48~72h)の発熱
  • 呼吸器合併症:胸水、無気肺
  • 輸血後の免疫反応
  • 抗生剤などのdrug fever
  • 腫瘍熱

3: 感染性合併症で頻度の低いもの

  • 前立腺炎
  • 副鼻腔炎
  • 真菌感染症
  • 髄膜炎
  • 感染性心内膜炎

 4: 非感染性合併症で頻度の低いもの