消化器外科専門医のブログ

消化器外科を専門にする中堅医師です.消化器(食道,胃,大腸,肝臟,胆嚢・胆管系,膵臓)のがんや手術を要する急性疾患,緩和医療などの診療を行っています.特に肝臓外科が専門分野です.日々の学びや,自分の成長につながること,頭のなかで考えたことを中心に記しています.

160525 後輩の指導 『齋藤孝の教え方』

本日の活動

今週は残念ながら肝臓の手術がありません.

今日は病棟の術後発熱の患者さんを診察して,

また外来に予約外で来られた術後の患者さんの対応をし,

できた時間で学会のスライドを作成していました.

 

最近は時間の使い方が管理できるようになってきましたので,

かなり集中して仕事ができたと思います.

 

 

今日は研修医の先生の指導について.

 

以前に書いたかどうかはっきりと覚えていないのですが,

私は立場上,研修医や後輩の先生に指導することが多いです.

教えることは嫌いではないので,結構気合を入れて指導を始めるのですが,

うまくいかないこともあり,指導の難しさを感じています.

 

相手に学ぶ意欲,特に主体的で自分から動こうとする姿勢があると,

こちらとしては非常に楽で,単に状況に応じて指導するポイントを挙げてきて,

それを軸にして教えるべきこと,身に付けるべきことを伝えるだけで十分です.

 

もともと知識や技術をみにつけることに積極的なので,

問題意識もあってすぐに教えたことは吸収します.

自分で勉強もして裏付けをし,さらにその範囲を広げることもします.

そうすると必然的に定着率が高くなるので,

同じ状況になった時に,ちゃんと理解して自信もある.

そうすると,「ちょっとやってみるか?」となるのも,自然な流れですね.

 

こんな時はまったく問題がないのですが,

今も悩んでいるのが,相手がそうではない場合です.

 

意欲はあるのだろうけど,非常に受け身な姿勢で教えてくれるのを待っている.

自分から主体的に動き始めないので,こちらが指示したことだけやるか,

あるいは誰かが動き始めたことをサポートしたりします.

 

この状況が,こちらとしては非常に困りますね.

教えても主体的,自主的でないので,それ以上の学習が見られない.

聞いたことを元にして,実際にそれを使って役に立てるなどの応用が効かない.

常に「待ち」の姿勢をされると,学びが非常に限定的になってしまい,

隙間の多い学びになります.

 

こうなったときに,今の自分ではどうしてやればいいのかわからなくなり,

そうこうしているうちに相手との関係がうまくいかず悪循環に陥ります.

 

こちらは向こうの至らない点,できていないことばかり目につき,

姑のような指摘をしてしまうことが増えます・・・

向こうもこちらに余計に聞きにくくなるのでしょう,

会話がどんどん減っていきます.

 

いまもそんな悩みに真っ最中です.

そんな中で,先日購入した本があります.

その名もずばり,「齋藤孝の教え力」です.

 

「齋藤孝の相手を伸ばす!教え力」

「齋藤孝の相手を伸ばす!教え力」

 

 この中ではじめの方に,強いインパクトを受ける文章がありました.

 

『そもそも,教えるということの目標は,

教えられている側が「できるようになること」です』

 

これにはドキッとさせられました.

自分は,こちらの伝えたいことを伝える,教える

ということを『指導』と捉えておりました.

 

しかしこの本では,そうではなく

相手がきちんと上達すること

が目標なのだ,教えるとういことなのだ,

と述べています.

 

こう考えると,自分から動かない後輩に対して

これまではまず腹をたてるところから始まりましたが,

これからはどうすれば主体的に動くのか,自分から質問するのか,

この先生が上達するための最適な方法は何だろうか?

 

こんな風に自分の接し方が変わり,同時に心の持ちようも変わり,

お互いの関係性も変わっていくのではないか,

そんな期待を持って今日から指導にあたっています.

 

いい方向に動くよう,期待しています.