171029 直接ビリルビンの上昇
いまICUに,汎発性腹膜炎で手術をした重症患者さんがいます.
エコー,CTでは肝内胆管の拡張はなく,薬剤性を疑いますが,見落としがないかという復習を兼ねてここにまとめておきます.
直接型優位の高ビリルビン血症
まず胆管の狭窄による胆管拡張を伴う『閉塞性黄疸』と,胆管拡張を伴わないものに分けることができます.
これはベッドサイドでエコーでできますし,もちろん単純CTでも可能です.
肝実質性黄疸は,各種ウイルス性肝炎やアルコール性肝炎,薬剤性肝炎などがあり,
胆汁うっ滞型黄疸は薬剤性が主な原因となります.
1.肝実質性黄疸(ウイルス性肝炎,自己免疫性肝炎,薬剤性肝障害,アルコール性肝障害, 肝硬変,転移性肝腫瘍など)
2.肝内胆汁うっ滞型黄疸
急性:アルコール性,薬剤性
反復性:良性反復性,妊娠性反復性
3.閉塞性黄疸(悪性腫瘍,結石,炎症)
4.体質性黄疸(Dubin- Johnson 症候群,Rotot 症候群)
現在できることは,
①原因となるような薬剤を中止,あるいは変更する.
②感染,炎症をできるだけ早急に改善させる.
③肝機能が低下してくれば,FFPによる凝固因子の補充
などになります.
①としては現在は使用している薬剤もずいぶん減らせましたが,鎮静のプロポフォール,フェンタニルを少量のドルミカムに変更しています。
②はCTで液体貯留が残存していることがわかり、抗生剤で押さえ込めないようなら、経皮的ドレナージを要します。
心配な日が続きますが、1つずつ山を乗り越えて、何とか回復してくれるよう治療していきます。