消化器外科専門医のブログ

消化器外科を専門にする中堅医師です.消化器(食道,胃,大腸,肝臟,胆嚢・胆管系,膵臓)のがんや手術を要する急性疾患,緩和医療などの診療を行っています.特に肝臓外科が専門分野です.日々の学びや,自分の成長につながること,頭のなかで考えたことを中心に記しています.

170106 腸球菌(Enterococcus)感染症 E. faecalis(フェカーリス)とE. faecium(フェシウム)

細菌感染に対して治療を要する場合に,菌種によって治療方法が異なることがあります.

腸球菌の臨床ではほとんどがE. faecalis(フェカーリス)とE. faecium(フェシウム)ですが,

E. faecalisはペニシリン系,セフェム系が効くのに対して,

E. faeciumは抗生剤に耐性であることが多く,注意が必要です.

耐性であればバンコマイシンを使用します.

以下にこれらの特徴をまとめましたので,ご参考にしてください.

 

 

  • 物理的,化学的に「頑丈」であり,抗菌薬に対しても耐性があるのが特徴.
  • 病原性は高くない.
  • 腸管に存在し,正常細菌叢の一部を形成する.
  • 臨床的に検出されるのはE. faecalis(フェカーリス)(80~90%)E. faecium(フェシウム)(5~10%)
  • E. faeciumはペニシリン耐性であることが多く,その際はバンコマイシンを使用する.
  • また多剤耐性であるVREのほとんどがE. faecium

 

E. faecium(フェシウム)が検出されたときは,感受性をよく確認することが重要です. 

 

青木眞 レジデントのための感染症診療マニュアルより