消化器外科専門医のブログ

消化器外科を専門にする中堅医師です.消化器(食道,胃,大腸,肝臟,胆嚢・胆管系,膵臓)のがんや手術を要する急性疾患,緩和医療などの診療を行っています.特に肝臓外科が専門分野です.日々の学びや,自分の成長につながること,頭のなかで考えたことを中心に記しています.

2015-08-01から1ヶ月間の記事一覧

150831 転移性肝癌の石灰化

先日,腎機能障害が高度なため,造影剤が使えない転移性肝癌の症例を経験しました. 普段から造影CT,EOB-MRIに完全に慣れているので,単純CTと単純MRIの読影には不慣れです.しかし高齢化がどんどん進んでいる現状では,腎機能障害の方も増えていくでしょう…

150826 高齢者の患者さんに対する手術をどの程度勧めるか

消化器外科において,高齢者(75歳以上を指すことが多いです)に対する手術を積極的に行うかどうか,という議論が盛んになされています. 胃癌,大腸癌から膵癌,そして私の専門の肝臓癌についても,同様の議論があります. 実際に手術を受けられた患者さん…

150823 親指シフト

今日は以前から興味のあった,「親指シフト」をついに始めました. これは,キーボードでの文字入力のうち,ローマ字でもない,かな文字入力でもない方法です. これを知ったのは,ずいぶんと前になりますが,勝間和代さんの著書であります, 「無理なく続け…

150820 バイポーラの使い方

本日の30分の第2領域の活動 ・夏休みの旅行のレシート・領収書のまとめ ・生命保険の契約書類変更 たまっていたものの処理が,着々と進んでいます.スッキリした気分です. 非常勤医師として働いているの勤務先の病院で,手術手伝いをしているのですが,今日…

150819 結紮の上達のために環境を整える

最近になってようやく,『結紮』に対する不安やプレッシャーがなくなってきたように思います. 結紮の手技は外科医にとって,かなり基本的なものであり,それこそ1年目から指導され,ずっと付きまとうものです.そして個人差も出てきます. 一般の消化器外科…

150818 第2領域のための30分を確保する

緊急性はないけれども,重要なこと,いわゆる『第2領域』の行動を,最も優先させるべきであることは,いろんな方が口をそろえて言われていることです. 実際に自分も『第2領域』の行動,例えばこのブログを書くことや英語論文を読むこと,結紮は糸を肌身離さ…

150817 若手の先生への指導

手術前に行われるカンファレンスでは、教授を始め医局員の前で手術症例をプレゼンテーションするのですが、原則として若手の先生の仕事です。 自分たちだけではできない部分もありますので、我々指導医がしっかりと教えるのですが、その若手の先生によってず…

150816 日常の積み重ねが極限状態で活かされる

先日,術後の患者さんの容態が急変し,一刻を争うような緊急事態となりました. 結果的には,緊急手術で救命することができたのですが,対応を一歩間違えれば,命を落としていたのではないかと思います. その詳細はこの場では触れませんが,最終的に手術を…

150814 肝部分切除の手技 左手の使い方 〜視野の展開から出血のコントロールまで〜

肝切除において,左手は決定的に重要な役割を持っています. 消化器外科手術の全般において,左手は重要な事に違いはありません.一般的に左手は鑷子で切離したい組織の近くを持ち,適切な展開・カウンタートラクションをかけて,的確で安全な切離の微調整を…

150813 肝部分切除の続き 術中エコーの使い方

昨日の肝部分切除の続きです. 昨日は①切離マージンは腫瘍の深さで変える,②ペアン鉗子のさばき方を知る,③腫瘍や肝実質の牽引の注意点,について,要点を書きました. 次に術中の肝エコーについても,使い方があります. 昨日の場合は切離方向が浅くなって…

150812 肝部分切除の手技のポイント・コツ 後輩の指導の反省点

今日は後輩の肝部分切除に助手として入りました.彼はまだ消化器外科の中での専門分野を決めておらず,今はわれわれ肝胆膵グループを研修のように回っています.今回のような肝部分切除は,他の病院で数例したことがあるとのことでした. 今日の手術はS4の小…

150810 肝亜区域切除 総論

肝亜区域切除とは,系統的肝切除のひとつであり,肝細胞癌に対して行う手術方法です. そもそも肝細胞癌に対する系統的切除とは,肝細胞癌が門脈血流にそって進展・転移する,という事実に基づくものです.そうであれば,その腫瘍に関係する門脈の範囲をでき…

150808 振り返りの習慣 〜吾日に我が身を三省す〜

毎日自分のことを振り返り,小さな改善を積み重ねていきたいと思っています.ブログを再開したのも,それが目的です. そのように意識するだけで,日々の具体的な体験,経験から,何が教訓として得られるのか,学びとなったのか,考える癖がついてきました.…

150806 オリジナルの味を追求するということ 〜北海道のラーメンに思う〜

今日は家族で北海道旅行に来ました.千歳空港を出て近くのラーメン屋さんに早速入り,それがとても美味しかったです! 食べているうちに,いろいろと考えることがあったので,その内容を書きたいと思います. ラーメン屋さんを始め,飲食店がその店オリジナ…

Vol.4 150805 学びの段階に応じて,見えるものが変化する

先日,腹腔鏡下肝外側区域切除を, 初めて最後までさせてもらうことができました. 完投したのが初めてでしたので, 達成感もあり,それは嬉しかったわけですが, そこにはある副産物があることに,気が付きました. それは,「視点」が変わったこと. それ…

Vol.3 150804 当直と疲れについて 昨日の続き

昨日の内容の続きになります. 具体的に何に取り組むか,考えてみました. 仮説は,「当直の疲れは,年齢そのもののせいではなく, 時間の使い方を変えたり,体力をつけたりすることで, 軽くすることができる」です. まずやるべきことは,「時間の使い方」…

Vol.2 150803 体力は本当に低下しているのか? 35歳は目安になるのか.

30代半ばを過ぎましたが、当直で病院に泊まると なかなか疲れが取れなくなってきたように感じます。 忙しくない当直、言わば電話が鳴らず、夜に起こされなかったとしても、 疲れてしまいます。 ここでお決まりの会話がなされるわけですが、 「30歳を過ぎると…

No.1 150802 ブログの再開.「教科書の編纂」と「思考の言語化」を目指して

およそ2年のブランクが空きましたが, ブログの記事を再開することにしました. 思い立ったきっかけは, 平成進化論で鮒谷周史さんが言っておられる, 「自分の教科書の編纂」と,「思考の言語化」のためです. 特に,思考の言語化によって,自分が考えてい…