消化器外科専門医のブログ

消化器外科を専門にする中堅医師です.消化器(食道,胃,大腸,肝臟,胆嚢・胆管系,膵臓)のがんや手術を要する急性疾患,緩和医療などの診療を行っています.特に肝臓外科が専門分野です.日々の学びや,自分の成長につながること,頭のなかで考えたことを中心に記しています.

2017-01-01から1年間の記事一覧

171212 消化管穿孔など,腹膜炎に伴う敗血症性ショックや全身管理

われわれ消化器外科は,日常的に数多くの緊急手術を行っています. その中には急性虫垂炎や急性胆嚢炎,鼠径ヘルニアの嵌頓など,術後の経過は比較的落ち着いているものも多いのですが,腹膜炎によって全身状態が非常に悪くなってしまう方もおられます. 例…

171209 内視鏡外科学会 教育集会 腹腔鏡大腸手術

先日の内視鏡外科学会の教育集会で、内視鏡技術認定試験のための講演がありました。 技術認定制度については、賛否両論ありますが、取得を目指す過程で得られる学びというものは、やはり計り知れないものがあります。 こういうきっかけがないと、徹底できな…

171126  下腸間膜動脈(IMA)から左結腸動脈を剥離する方法

『魅せ技』という手術の動画サイトがあります. そこには各分野のエキスパートの先生方が,代表的な手術の動画を解説付きで載せられています. www.misewaza.jp 解剖学や手術の手順など,手術書や解剖学の教科書、アトラスなどで手術の勉強をすることも多い…

171121 習慣化の大切なポイント『一度に1つだけ』

前回は習慣化しようとしたときに、 どんな風に挫折してしまうのか、 それぞれの時期を乗り越えるためにはどうすればよいか、ということをまとめました。 今回は別の視点から、習慣化するときに押さえるべきpointをお伝えしたいと思います。 それはズバリ、 …

171120 習慣化の挫折対策 その②

前回は、習慣化する際に挫折してしまう時期とその理由を3つに分けて、①反発期、②不安定期、③倦怠期、とに分かれるという話を、『続ける習慣』を引用してご紹介しました。 「続ける」習慣 作者: 古川武士 出版社/メーカー: 日本実業出版社 発売日: 2010/11/11…

171107 習慣化の技術 自分が取り入れたこと

ひとりの医師として、外科医として、 自分が求める『理想の姿』というのがあります。 それは家庭では夫、あるいは父親として、 こうありたい,というのが同じくあります. それらはただ漫然と過ごしていては手に入らなくて、 日々の行動の積み重ねによって,…

171110 十二指腸のリンパ流

十二指腸に発生したNETの患者さんがおられます. 腫瘍径が小さく,深達度も深くないことから, 十分に患者さんと相談した上で, 幽門側胃切除を行うことにしました. この判断は難しく,さまざまな選択肢がある状況です. ガイドライン上も明確な推奨がない…

171108 胃癌の補助化学療法

最近しばらくの間,肝胆膵の領域の診療に特化して携わっていたので,胃癌の治療から遠ざかっていました. 今の病院では胃癌も大腸癌も数多く診ることになりますので,現在の標準治療を再確認する必要があります. 今は先日,胃癌の手術をした患者さんの病理…

171104 抗真菌薬の使い方 外科領域フローチャート

いま主治医でみている重症患者さんの,発熱が持続しています. 腹腔内膿瘍がありましたので,経皮的にドレナージしてもらいましたが,それでも持続するため,他の原因も併発していると考えられます. ひとつはカテーテル感染です. 内頸静脈からのCVカテーテ…

171029 直接ビリルビンの上昇

いまICUに,汎発性腹膜炎で手術をした重症患者さんがいます. もうすぐ1週間になりますが,敗血症性ショックなどもあり,まだ人工呼吸管理,CHDF(持続血液透析)が必要な状態です. 数日前から徐々にビリルビンが上昇し,直接ビリルビンが優位で,トランス…

171028 新しい病院に移りました

ずいぶん久しぶりの投稿になりました. 最近,異動で中規模の急性期病院に移ることになりました. これまではほぼ肝胆膵領域のみに携わっていたのですが, 新しい病院では上部消化管から下部消化管の悪性腫瘍ならびに急性腹症まで, すべての手術や診療を行…

170106 4時間半睡眠。再び。

以前のプレジデントの特集で、4時間半睡眠の特集をみかけました。 以前にもこの方法は学んだことがあり、内容はよく知っています。 平日は4時間半睡眠で過ごし、土曜日には6時間、日曜日に7時間の睡眠で不足分を調節する、というものです。 日中に眠気が…

170106 腸球菌(Enterococcus)感染症 E. faecalis(フェカーリス)とE. faecium(フェシウム)

細菌感染に対して治療を要する場合に,菌種によって治療方法が異なることがあります. 腸球菌の臨床ではほとんどがE. faecalis(フェカーリス)とE. faecium(フェシウム)ですが, E. faecalisはペニシリン系,セフェム系が効くのに対して, E. faeciumは抗…