消化器外科専門医のブログ

消化器外科を専門にする中堅医師です.消化器(食道,胃,大腸,肝臟,胆嚢・胆管系,膵臓)のがんや手術を要する急性疾患,緩和医療などの診療を行っています.特に肝臓外科が専門分野です.日々の学びや,自分の成長につながること,頭のなかで考えたことを中心に記しています.

171108 胃癌の補助化学療法

最近しばらくの間,肝胆膵の領域の診療に特化して携わっていたので,胃癌の治療から遠ざかっていました.

今の病院では胃癌も大腸癌も数多く診ることになりますので,現在の標準治療を再確認する必要があります.

 

今は先日,胃癌の手術をした患者さんの病理結果を待っているところです.

幽門狭窄をきたしていた進行癌でしたので,リンパ節転移も陽性になる可能性が高そうです.

幸い術中の洗浄細胞診は陰性でした(CY0).

 

術後の補助化学療法をどうするか,胃癌治療ガイドラインから抜粋してまとめます.

 

f:id:satoshi22:20171108230928p:plain

 

胃癌取扱規約では,リンパ節転移の個数でN1(1〜2個), N2(3〜6個), N3(7個以上)に分類されます.

 

T4a(SE)でN2であればStageⅢbとなります.

5年生存率は約30%とかなり厳しいところですね,,,

 

StageⅡおよびⅢは基本的には,TS-1による1年間の補助化学療法が適応となります.

 

ちなみに胃癌の5年生存率

StegeⅠ  93.4%

StageⅠb  87.0%

StegeⅡ   68.3%    

StageⅢa   50.1%

StegeⅢb  30.8%

StatgeⅣ     16.6%

です.

 

いずれにせよこの患者さんは,補助化学療法の適応になりそうです.

時期を見て病理結果を説明し,前向きに取り組めるようにサポートしていきたいです.

 

f:id:satoshi22:20171108230933p:plain

f:id:satoshi22:20171108230918p:plain