消化器外科専門医のブログ

消化器外科を専門にする中堅医師です.消化器(食道,胃,大腸,肝臟,胆嚢・胆管系,膵臓)のがんや手術を要する急性疾患,緩和医療などの診療を行っています.特に肝臓外科が専門分野です.日々の学びや,自分の成長につながること,頭のなかで考えたことを中心に記しています.

2013-01-01から1年間の記事一覧

131007 人生がときめく片付けの魔法

こういった本を買うことはあまりないのですが,なんとなく気になり本屋で以前に購入していました. 職場も自宅の書斎も散らかっているのが目につきだしたので,読んでみると結構面白く読みました. 著者曰く,片付けは収納ではないし,コツコツと毎日するも…

131007 『知的ストレッチ入門』日垣 隆

「知的ストレッチ」とは,ストレッチを毎日続けているうちに,つま先まで手が届くようになるイメージで,「知的生産力」についても,毎日ストレッチすることで伸ばすことができるという主旨です. そのための情報収集,すなわちインプットと,それを質の高い…

130930 あらたな乳がん検診ガイドライン

国立がん研究センターが,あらたな乳がん検診ガイドライン,『有効性評価に基づく乳がん検診ガイドライン2013年版』の案を発表しました. 検診の対象者は「40〜74歳の無症状の女性」であり,「マンモグラフィ単独」と「マンモグラフィ+視触診」を推奨し,い…

130928 過剰な鉄分は肝臓に悪影響を及ぼす

過剰な鉄分は肝臓に悪影響を及ぼす 鉄の過剰状態では, 酸素→スーパーオキシド→OH-ハイドロキシルラジカル の反応が起こりやすくなり,その結果として 細胞膜やタンパク質,DNAの損傷あるいはアポトーシスが促進されることがわかっています これらは先天性の…

130918 大腸癌の同時性肝転移(巨大、単発)に腹水を伴う症例

進行S状結腸癌で通過障害はなく、肝右葉の広範囲を占めるような20cm大の転移性病変を伴う症例です。同時切除予定としましたが、術前の精査でダグラス窩に腹水が見られました。明らかな腹膜播種結節はなさそうです。 このような、「大腸癌+切除可能肝転移+腹…

130915 B型肝炎の治療

B型肝炎の治療の到達目標は,以前はHBe抗原が陰転化してHBe抗体が陽転化する「HBe抗原セロコンバージョン」であった. セロコンバージョンを起こすと肝炎が沈静化し,HBV-DNA量が感度以下に低下することが多かった. ところがセロコンバージョンにかかわらず…

130915 急性膵炎の治療

輸液:輸液量は健常人が1500〜2000mlに対して,2〜4倍(3000〜8000ml)が必要である 蛋白分解酵素阻害薬:メシル酸ガベキサート(エフオーワイ)やメシル酸ナファモスタット(フサン),ウリナスタチン(ミラクリッド)には一定の効果が期待される.一方でさ…

130915 急性膵炎の診断と治療 ERCP関連を中心に

先日,肝門部胆管癌による閉塞性黄疸に対して行ったERCP (ENBD)後に,急性膵炎を発症し,重症化しました.幸い良好な経過でしたが,数日は強い腹痛を訴えていました.復習のため急性膵炎のガイドラインを中心に,まとめておきます. ERCPの合併症の中で,急…

130911 胆管細胞癌 CCC: cholangiocellular carcinoma(肝内胆管癌)

胆管細胞癌 原発性肝癌の3.6%(HCCについで2番めに多い) HCVとの関連あり 胆管の慢性炎症との関連もある(肝内結石,PBC,肝吸虫症など) PBCの10%前後に発症する 肉眼所見で3つに分類①腫瘤形成型②胆管浸潤型③胆管内発育型 腫瘤形成型:比較的境界明瞭で,…

130908 瞑想・座禅の事始め

自分を見つめるため,あるいは揺れない精神を身につけるため瞑想を習慣にしています. 毎日5〜10分と長くはないのですが,自分をより理解でき,精神が落ち着くのが実感できます. しかし,なかなか集中しきれないのが悩みで,自己流ではなく座禅を教わろうと…

130908 昨日の研究会 〜大腸癌化学療法について〜

昨日参加した『これからの大腸癌化学療法』の覚え書きです レゴラフェニブ(スチバーガ)の副作用として,Hand-Foot-Syndromeに注意 特に体重のかかる足底部に強く出る まず痛みが先行し,翌日くらいから皮膚の発赤・水疱・表皮剥離が出現する NSAIDsが比較…

130903 発熱の原因

肝切除後の発熱の原因 3大原因 1: 胸水貯留 肝の脱転・授動操作などによって反応性に淡血性の胸水貯留が起こる。 報告では肝切除の約20%に胸水貯留が起こり、そのうちの90%に37℃以上の発熱が起こる。 2: カテーテル感染 当科ではルーチンに中心静脈カテー…

130902 転移性肝癌の画像診断

転移性肝癌(大腸癌など乏血性の腫瘍の場合) 多くの場合、最初は多血性であり、腫瘍の増大とともに血液の供給が追いつかなくなりリング状に造影されるようになる。 早期相でリング状濃染 門脈相,後期相で徐々に内部が染まってくる 門脈相が、腫瘍と肝実質…

130902 小肝細胞癌

小肝細胞癌 画像診断の進歩に伴い、肝内小結節の発見頻度が増えた。 これらは肉眼的に境界不明瞭な高分化型肝細胞癌であり、動脈血流は豊富でなく比較的hypovascular。 MRIでは高分化型はT1強調像で高信号、T2強調像で等〜低信号を呈するものが多い。(古典…

肝臓の画像診断 HCC、多血性腫瘤

HCC(古典的肝細胞癌) 動脈血流の供給が豊富であり、腫瘍内のモザイク状構造と造影後期相での腫瘍辺縁のリング状の造影効果が特徴的 動脈相で早期濃染(モザイク状構造) 中心部に造影効果の乏しい部分があれば、壊死が疑われる 門脈相,平衡相でWash outさ…