130930 あらたな乳がん検診ガイドライン
国立がん研究センターが,あらたな乳がん検診ガイドライン,『有効性評価に基づく乳がん検診ガイドライン2013年版』の案を発表しました.
検診の対象者は「40〜74歳の無症状の女性」であり,「マンモグラフィ単独」と「マンモグラフィ+視触診」を推奨し,いずれも「死亡率減少効果を示す相応な証拠がある」と説明があります.
また50〜74歳の推奨グレードは『A』であるのに対して,40〜49歳では『B』と区別していますが,これは後者では擬陽性が多いことや,放射線のリスクを考慮してこのようにしています.また40歳代のマンモグラフィについては国際的な議論があることにも触れています.
さらに,視触診単独およびエコー検査は死亡率減少効果が明らかでないことから,現時点では健診としては推奨していません.現在我が国の臨床試験で,マンモグラフィ+エコー検査の有効性を検討中です.
20代の女性の発症率は全体の1%以下と非常に低く、また乳腺が発達している20~30代の若い女性がマンモグラフィーを受けても、乳腺としこりの区別がつきにくいため、有効な検診とはいえないのも事実です。
現在、対象者の1000人が乳がん検診を受けると、50~70人が「要精密検査」となり、その中でがんが見つかる人は2~3人という状況です。現在20%に満たない受診率が50%になれば、死亡率が確実に下がると見られています。
若い人に対してはやみくもに不安を煽るのではなく,このような事実の理解を広めること,そして対象年齢の方に十分な理解を訴え,受診率を高めることが現在重点的に行うべきことといえるでしょう.
データ:2010年日本乳癌検診学会発表資料、福井県済生会病院外科部長笠原善郎さんほか)