進行胃がんの抗癌剤治療 オプジーボ(免疫チェックポイント阻害薬)について
どの薬剤を選択するべきか、という方針は胃癌治療のガイドラインがあるので、基本的にそれに沿って行います。
※ ただし、ガイドラインにも明記してあるのですが、こちらに載っていないものを『推奨しない』わけではありません。載っていないものを用いることが妥当な場合もあります。
大きく分けて、以下のように6種類あり、それらを使い切ることが望ましいと考えられています。
・フッカピリミジン系:5-FU、S-1、カペシタビン(+ヌクレオシド系:ロンサーフ)
・プラチナ系:シスプラチン、オキサリプラチン
・タキサン系:ドセタキセル、パクリタキセル、ナブパクリタキセル
・トポイソメラーゼ系:イリノテカン
・分子標的薬:トラスツズマブ(HER2(+)の場合)、血管新生阻害薬 ラムシルマブ
・免疫チェックポイント阻害薬:ニボルマブ
効果、副作用、どのような臨床試験のデータが有るか、などによって使用する順番などの優先順位がありますが、それらの考え方は、別の機会にまとめます。
というのも、この『免疫チェックポイント阻害薬』というのは、従来のいわゆる『抗がん剤』とは種類が異なります。
よって体の正常な細胞の中で、活発に増殖する部分にもダメージが来てしまうのです。
例えば白血球や赤血球などの血液細胞は、活発に細胞分裂を繰り返して、増殖していますが、それらがダメージを受けることで白血球が減少して細菌やウイルスに対する抵抗力が落ちてしまったり、貧血になってしまったりします。
一方で、免疫チェックポイント阻害薬は、もともと備わっている『自分の腫瘍に対する免疫』を活性化することによって、癌を攻撃するのです。
この『免疫の活性化』ですが、実際は免疫チェックポイントと呼ばれる、免疫の『ブレーキ』のひとつであるPD-1をブロックします。
少しわかりにくいところですが、免疫には活性化するための『アクセル』と、過剰反応しないための『ブレーキ』とが備わっています。
過剰反応すると、アレルギーが起こってしまったり、あるいは自己免疫疾患とよばれる、様々な病態を引き起こしてしまうからです。
この『ブレーキ』をブロックするということは、腫瘍に対する免疫が活性化して、癌を攻撃してくれるのですが、
一方で、自分自身の体を攻撃してしまう『自己免疫疾患』のような副作用も出てしまうことがあるのです。
どのようなものがあり、どんな症状がでるのか、
どのようなタイミングで、どんな疾患が、どんな発生頻度で起こるのか、
またそれをどう疑い、どんな検査をいつ行うべきか、その検査結果をどう判断するか、どう治療するか。
それらの実践的な内容について、まとめていきたいと思います。