130915 急性膵炎の治療
- 輸液:輸液量は健常人が1500〜2000mlに対して,2〜4倍(3000〜8000ml)が必要である
- 蛋白分解酵素阻害薬:メシル酸ガベキサート(エフオーワイ)やメシル酸ナファモスタット(フサン),ウリナスタチン(ミラクリッド)には一定の効果が期待される.一方でさまざまな報告があり,見解は定まっていない.
- 疼痛管理:レペタンやペンタジンの持続静脈投与は除痛効果に優れ,以前より指摘されてきたOddi括約筋の収縮作用も認められなかった.
- 予防的抗菌薬:重症例には感染合併症の低下や予後の改善がある
- H2ブロッカー:急性胃粘膜病変や消化管出血の合併例あるいはその可能性があれば考慮する
- 栄養療法:早期からの経腸栄養は感染合併症の発生率を低下させる.一方で中心静脈栄養の有用性は認められない.
- 食事:明確な指標はないが,腹痛や膵酵素(特にリパーゼ)を目安にする
まとめると,とくに初期の十分な輸液とタンパク分解酵素の投与,予防的抗菌薬の投与が必要になります.
また,激しい腹痛を伴うので,持続的あるいは定期的な鎮痛薬の投与が望ましく,以前に指摘されていたペンタジンによるOddi括約筋の収縮は考慮しなくて良いようです.それでも心配ならレペタンを使うと良いでしょう.
経腸栄養の早期開始が推奨されていますが,重症膵炎患者に透視あるいは胃カメラのもとで十二指腸や空腸まで栄養チューブを挿入するのは,実際上はなかなか大変です.
現実的には腹痛やアミラーゼ,リパーゼ,CRPを指標にして可及的早期に経口摂取を開始すること,長期化するようならその時点で経腸栄養か中心静脈栄養を行うことになります.