消化器外科専門医のブログ

消化器外科を専門にする中堅医師です.消化器(食道,胃,大腸,肝臟,胆嚢・胆管系,膵臓)のがんや手術を要する急性疾患,緩和医療などの診療を行っています.特に肝臓外科が専門分野です.日々の学びや,自分の成長につながること,頭のなかで考えたことを中心に記しています.

2016-01-01から1年間の記事一覧

161130 開胸の手技

先日,開胸する機会を与えてもらったので,その復習とポイントの整理を行います. 再現できるように細かな点まで記載しておくつもりです. ・視野と操作のために,バスタオルで右半身をやや挙上しておきます。 ・右手は90度外転させ,第3助手はその頭側に入…

160629 肝内胆管癌の画像所見(胆管浸潤型)

以前にもこのブログで書きましたが,肝内胆管癌の診断は比較的難しく,とくに胆管浸潤型のものは腫瘤が明瞭に描出されないので,そもそもそこに腫瘍があるのかどうかも指摘するのが難しいことがあります. satoshi22.hatenablog.com 腫瘍は同定できずに肝内…

160621 脚下照顧

最近、学会発表や学会の抄録、論文の投稿などが続き、そのたびに上司に見てもらっていました。まだまだ自分一人の力では、十分なレベルに到達しないので、このように指導してもらう必要があるのですが、こういうことが最近続いたせいか、何かしら評価を避け…

160611 習慣化のためのアプリ『Habitica』

先日、少し記事に書きましたが、様々な習慣化したいことを実現するために、役に立ってくれそうなものを見つけました。習慣化のためのアプリで『habitica』といいます。習慣化の何が難しくて断念してしまうかというと、段々とモチベーションが保てなくなり、…

160609 よく使用する抗生物質と略号

われわれ消化器外科医は、いろんな場面で抗生物質をよく使います。入院中であれば、まず手術の患者さんに対しては、周術期の感染症(SSI)予防のために術前から投与します。術後に感染症を合併することもあり、感染の種類と程度、原因菌に応じた治療を行います…

肝性脳症の治療 160608

われわれ消化器外科の肝臓グループは,肝細胞癌の手術を多く行っていますが, 術後に腫瘍が再発して肝臓の多くの部分を占拠したり,あるいはもともとの肝硬変が悪化したりすると, 肝臓が正常に働くことができず肝性脳症という状態になることがあります. 高…

160526 習慣化のための新たなアプローチ

本日の活動最近、再び習慣化に取り組んでいます。ずっとさまざまなことを習慣にしたいと思い、また実際に始めてみるのですが、これがなかなか難しくて、現実の引力に簡単に負けてしまいます。例をあげますと、早起き1日8000歩あるくことブログの継続手術の…

160525 後輩の指導 『齋藤孝の教え方』

本日の活動 今週は残念ながら肝臓の手術がありません. 今日は病棟の術後発熱の患者さんを診察して, また外来に予約外で来られた術後の患者さんの対応をし, できた時間で学会のスライドを作成していました. 最近は時間の使い方が管理できるようになってき…

術後の発熱 160524

先週に肝切除を行った患者さんがいるのですが、術後しばらく微熱が続いていました。注意しながら経過を見ていたところ、術後8日目になって38℃の熱とともに悪寒が現れ、その後39℃まで上昇しました。肝切除後の発熱の主な原因としては、1 胆汁漏などによる切離…

160523 ブログへの復帰

ブログの記事をアップするのは、ずいぶん久しぶりになってしまいました。学会のシーズンや、抄録の締め切り等が重なると、どうしても時間に追われてしまい、自分のペースがとれなくなります。記事を書くということは、けっこう難しいものです。 自分が1日、…

160312 臨床試験と治験の違い

臨床試験と治験 この2つの用語は同じような意味合いで理解していましたが, 正確には異なる試験を指します. まず押さえておくべき大切なポイントは, ①治験は臨床試験の一部である ②治験は保険適用を目指して行う臨床試験である ということです. 臨床試験…

160311 とりあえず、始めることの効果

やらねばならないことは重々承知しているのだけれど、 なかなか手をつけられない、 足が遠のいてしまう、 目を背けて考えないことにする、 無意識のうちに、そういう状態になってしまうことがあります。 誰にでも、そういうことがあるのではないでしょうか.…

160309 皮膚のかゆみと外用薬,抗ヒスタミン薬

消化器外科領域では,高齢者が多いせいもあり、皮膚の乾燥に伴う痒みを訴えられルことが多いです。 また肝疾患や閉塞性黄疸に伴う痒を訴えられることもよくあります。 痒みに対する対症療法としては,保湿のための外用薬と抗ヒスタミン薬の内服をよく用いま…

160301 自分にとって適切な睡眠時間を把握する

朝のドライラボ 昨日、いよいよ鉗子が完全に壊れたしまったので、もうひとつの使いにくい鉗子で代用です。 しかしあまりにやりにくいので、 これで練習している意味があるのか、疑わしいです(汗) 医局に余っていないか、探してみます。 今朝は昨日の宣言…

160229 朝が起きられないことについて考える

今もっとも習慣にしたいことは、 早起きすること、です。 しかしこれは自分にとって最も難しいことのひとつ。 特に最近は、朝が全く起きられないのです、 家を出る30分前ということも、いまでは珍しくないのです。 明日は、5:50になんとか頑張って起きます。…

160227 肝S2,S3の立体解剖

今朝のラパロトレーニングです。ディスポの鉗子を使っていたのですが、今朝、割れてしまいました(汗) 力の入れすぎでしょうか? 今日は肝臓の解剖の復習です. 外側区域のS2とS3は,ときどきイメージがぱっと思い浮かばないことがあります. その理由とし…

160226 打ち解けるのが遅いと、何ともったいないことか

今日も朝からラパロの縫合トレーニングです。 忙しい朝でしたので、それこそ2分くらいでした。 送別会の時期がやってまいりました。 送別会といえば、送る人、送られる人が挨拶をする機会があります。 そこで感じたことについて、今日は書きたいと思います。…

160225 現実の状況を変えるための行動は,日常業務の延長ではない.

今日はPD:膵頭十二指腸切除の手術でした. 日常臨床の大半が肝臓に携わっていますので, 膵臓に関しては恥ずかしながら,ほとんど経験できておりません. しかし消化器外科医としての自分を考えますと,肝臓だけできるというのは,あるべき姿とは少し違いま…

160224 PDの際のfusion fasciaの剥離層

つたない絵ですが,胃切除の際と同様に,fusion fasciaの前面の粗な剥離層です. 層は胃切除と同様ですが,胃切除では右胃大網静脈を切離するラインで進めるのに対して, PDではさらに深くまで静脈を露出し,Henleい結腸静脈管から上腸間膜静脈(SMV)までを…

160223 S8亜区域切除 染色法

腹腔鏡の鍛錬として,(できるだけ)毎日ドライラボで縫合,結紮の練習をするようにしています. 時間はごく短いですが,こういうものは少しずつでも続けることが大切です. ここに記録することで,毎日続けられるモチベーションにしようと考えました. 『習…

160222 開胸,閉胸の操作と解剖

右葉の肝切除の際に肝臓の充分な視野を確保するため,右開胸をすることがあります. 当施設では通常あまり開胸は行っていませんが,必要なときのための自分の予習としてまとめました. 肋骨は背側では第12胸椎までありますが,腹側の肋軟骨に結合するのは第1…

160219 肝S8亜区域切除の予習

今度,S8の肝細胞癌に対して亜区域切除を行いますので,その予習としてポイントをまとめたいと思います. 疾患は肝細胞癌で,肝臓の右葉,前区域のS8に存在する腫瘍です. S8グリソンの根部に近い部分で接しているので,亜区域切除がよい適応になります. こ…