160309 皮膚のかゆみと外用薬,抗ヒスタミン薬
消化器外科領域では,高齢者が多いせいもあり、皮膚の乾燥に伴う痒みを訴えられルことが多いです。
また肝疾患や閉塞性黄疸に伴う痒を訴えられることもよくあります。
痒みに対する対症療法としては,保湿のための外用薬と抗ヒスタミン薬の内服をよく用います。
これまでその場で対応して処方してきましたが,一度使用薬剤について整理してみます。
外用薬
白色ワセリン:
保湿を考えると,白色ワセリンで十分役目を果たせます.
これは様々な軟膏のベースになっています。
体内に吸収されることもなく,皮膚への刺激もないので,
びらんや外傷のある皮膚に対しても使用できると言えるでしょう.
熱傷で皮膚が剥がれた部分にも使用するくらいです.
難点は非常にべたつくことですが、
ガーゼなどを薄く置くことで対応可能だと思います.
ウレパール:
保湿作用が強い外用薬として,尿素配合のウレパールがあります.
保湿作用が強いとされている反面,
皮膚への刺激があるため,炎症や障害のある皮膚には使用を控える方が良いかもしれません。
成分のクロタミトンに痒みを抑える作用がありますが、
詳細なメカニズムははっきりわかっていないようです.
やや皮膚刺激があります.
ヒルドイド
ヘパリン類似物質のヒルドイドには保湿作用に加え,血流改善作用があるとされます。
出血傾向のある患者には使用できません.
続いて内服薬です。
抗ヒスタミン薬
第1世代と第2世代があります。
第1世代は中枢神経系の抑制作用と抗コリン作用があり,
眠気が強い特徴があります.
それを改善した(血液脳関門を通過しにくい)のが第2世代であり,
抗コリン作用も弱く,現在ではファーストチョイスとなることが多いです。
第1世代:アタラックス,ポララミン,レスタミンなど
※ アレグラ,クラリチンには添付文書にも車の運転注意の記載がないようだ.
また細かいところではあるが,
その他の多くは肝排泄である.
われわれの患者さんは腎機能低下,肝機能低下のある方が多いので,
その点でも使い分けする細やかさを持ちたいものですね.