171110 十二指腸のリンパ流
十二指腸に発生したNETの患者さんがおられます.
腫瘍径が小さく,深達度も深くないことから,
十分に患者さんと相談した上で,
幽門側胃切除を行うことにしました.
この判断は難しく,さまざまな選択肢がある状況です.
ガイドライン上も明確な推奨がない領域であり,
リンパ節郭清を行うのかどうか?,
するのならどこまでのリンパ節郭清をするのか?
ということになります.
胃癌では領域リンパ節は,食道胃接合部癌を除いて,
No.1, 3, 4sb, 4d, 5, 6, 7, 8a, 9, 11p, 12a, 14vです.
一方,Vater乳頭部癌では
1群リンパ節がNo.13ab,
2群リンパ節が12b2, 14abcd, 17abです.
十二指腸癌に対する至適なリンパ節郭清については,
定まったものはまだありません.
いくつかの本邦の文献をひもときますと,
十二指腸癌のう中でも腫瘍がVater乳頭より口側の
場合のリンパ節転移は,
No. 3, 4, 6, 7, 8ap, 9, 12ap, 13a, 13ab, 17ab
に見られることが報告されています.
原発性十二指腸癌10例の臨床病理学的検討 外科 小 川 洋ら 日臨外会誌 70(4),968―973,2009
No.13, 17のリンパ節郭清を行うには,
膵頭十二指腸切除が必要ですが,原発腫瘍の大きさからすると,過大侵襲であると考えます.
このあたりは施設ごとに治療方針を選択している
のが現状であり,今回は年齢や患者背景なども
総合的に判断して,決定しています.
今回郭清するリンパ節の範囲は,
No.1, 3, 4d, 5, 6, 7, 8a, 9, 12a, 14v
とする予定です.