消化器外科専門医のブログ

消化器外科を専門にする中堅医師です.消化器(食道,胃,大腸,肝臟,胆嚢・胆管系,膵臓)のがんや手術を要する急性疾患,緩和医療などの診療を行っています.特に肝臓外科が専門分野です.日々の学びや,自分の成長につながること,頭のなかで考えたことを中心に記しています.

150817 若手の先生への指導

手術前に行われるカンファレンスでは、教授を始め医局員の前で手術症例をプレゼンテーションするのですが、原則として若手の先生の仕事です。

 
自分たちだけではできない部分もありますので、我々指導医がしっかりと教えるのですが、その若手の先生によってずいぶんと違ってきます.
そつなくこなしていく先生が多いですが,求められる内容よりさらに一歩踏み込んだところまで,自分で勉強してきたり,質問したりする先生もいますし,要領を重視して,そのカンファレンスで求められているレベルや内容を察知し,最短距離と必要最小限の情報量で仕上げてくる先生,そしてそこまでまだ思いや知識が至らず,われわれの言っている内容を何とか理解するので精一杯,あるいはそれもおぼつかない先生もいます.
 
それはその先生の性格や,成長の段階などによって変わってくるので,それいいのですが,まだ一定の到達点に達していない,若い先生を指導していて,思うことがあります.私の指導の方針としては,自分の頭で考えることや,自分で調べて理解することを重視しているので,どんどんこちらから知識を与えることはせず,自分で話や説明をさせて,正しい方向に誘導したり修正したりするようにしています.
そのようにするので,指導のやり方としては,相手の先生によって変えることはあまりありません.しかしこのやり方ではうまくいかない先生もいることに,最近気づいてきました.
全体を見て,間違っている部分などを指摘し,知識を付け足して講義のような形でひと通り終えます.そこまできちんとやった上で,本番までにまとめ,修正し,何度か発表の練習をしておくように言うのですが,ときどき,頭を抱えたくなるような,未修正のプレゼンをする先生がいます.当然しどろもどろになり,傍から見ても残念な結果に終わります.
去年に1人,こういう先生がいたのですが,今年にもその傾向のある先生がいました.去年までは,これはその先生の態度や取り組む姿勢の問題であり,そのように指導していましたが,続くとなるとこちらの指導方法にも,改善点があるのではないかと考えるべきでしょう.
上述しましたように,一連の指導の中でいろいろ説明はしますが,最終的なまとめの部分は本人に任せているので,仕上がりは確かにばらつきがあります.まだ若く知識も不足しがちな先生の場合は,ひな型を与えるような意味を込めて,もう少し細かなところまで最後の詰めをしてあげるのが良い場合があるかもしれません.
自分では過保護と思う面があるのですが,同じことをやっていてもおそらく変わらないと思うので,相手によってやり方を変えてみます.