消化器外科専門医のブログ

消化器外科を専門にする中堅医師です.消化器(食道,胃,大腸,肝臟,胆嚢・胆管系,膵臓)のがんや手術を要する急性疾患,緩和医療などの診療を行っています.特に肝臓外科が専門分野です.日々の学びや,自分の成長につながること,頭のなかで考えたことを中心に記しています.

ラパロ大腸切除の勉強会 振り返り 180519

先日,ラパロ大腸切除の勉強会がありました.
 
そこで気づいたポイントを,簡単にアウトプットしておきます.
 
 
・ビデオ審査をされる先生は,まず全体を通して見た印象が大事であって,
この先生は後輩を育てられるだろうか?』という視点で見ているそうです.
 
そしてその印象からさかのぼって,技術点を振り分けると言っておられました.
 
 
・いい視野ができている = 良い指導をしている,ということ
 視野を作るときは,何度か術者が細かく持ち替えてから,いい場所を持たせる,といった見せ方も必要です.
 
 
ゆっくりとした鉗子の動きで,最短距離で目的地に到達する訓練をする
 ゆっくり動かしたときにこそ,色んな情報が得られる.
 
 
・弱い脂肪組織ではなく,腹膜や血管を把持すると,出血したりちぎれたりしにくい.
 
 
・組織を直接把持せず,ラパロガーゼで柔らかく手前に引いたり,上に押し上げたりすることで,視野を展開する.
 
 
・外側剥離の際に腸間膜をボロボロにすると,腫瘍学的にも問題がある.
 腸間膜のツルッとした面を大切にし,ていねいにキープする.
 
 
・直腸間膜の切離は,まず前面をピオクタニンでマーキングし,
 次に左側で腸管壁を露出させ『受け』を作っておく.
 その後で右から行うと,連続させるゴールが見える.
 
 
・カメラの出し入れは編集は可能とのことでした.
 ただしあまり好ましくはないので,コメントで「顔が写ったので』などを書いておく.
 
・ドライボックスでは『速さ』だけではなく,ていねいな洗練された動きを追求することも大事.
 ミラーイメージの練習も有効.
 
 
技術の問題もそうですが,意識するべき点など,普段忘れがちなポイントなどに多くの気づきがありました.
 
すぐに実践できることが多いので,来週からの手術で,術者,助手ともに活かしていきたいです.