消化器外科専門医のブログ

消化器外科を専門にする中堅医師です.消化器(食道,胃,大腸,肝臟,胆嚢・胆管系,膵臓)のがんや手術を要する急性疾患,緩和医療などの診療を行っています.特に肝臓外科が専門分野です.日々の学びや,自分の成長につながること,頭のなかで考えたことを中心に記しています.

150903 学会発表の抄録を書くときに注意すること

最近あまり時間が取れず,このブログへの書き込みが滞ってしまっていますが,その理由は何と言っても,学会発表の抄録(発表する内容の要約です.この出来によって当落が決まりますし,より上級のセッションに通るかどうかも決まります)の締め切りが目前に迫っており,その作成に多大な労力と時間をかけているからです.

 

今回発表するテーマは決まっているので,その解析,結論付けが終わり,抄録の文章はひとまず書けました.自分なりに何度もよく考え,文章を推敲して上司に見てもらいました.そこで疑問点や修正すべき点を指摘してもらい,それを元にもう一度考えているところです.

 

一人で考えているときは,これで十分に考え尽くした気になっていましたが,指摘されると,論理が綻んでいるところや,飛躍してしまっているところ,そもそもその結語を導くためには,そのグループの比較でいいのか?,統計学的手法はあっているのか?など,細かくても重要なところに気付かされます.

 

いまはもう一度よく考えて,この検討でいったい自分はなにを明らかにしたいのか,というところから始めています.この出発点がに気持ちが入りすぎていたために,やや独断的な,偏りのある解析であったように思います.

 

学会発表や論文投稿のときに大切なことは

①論理的に道筋が正しく,わかりやすいこと

②その論理を裏付けるためのデータがあること

③臨床に役に立つこと

であろうかと思うのですが,今回は③を考えすぎた気がします.

こういう結論が出てほしい,出るだろう,という希望と推測から,①と②に対する認識が甘くなっていたのだと思います.

 

今もう一度,頭を冷やして考えています.

やり直すたびに苦労はしますが,自分の頭のなかで間違いや勘違い(思考のバグ)がどんどん潰れていることがわかります.

 

一段落すれば,これら今回学んだことを個々にまとめ直し,自分が次の発表や論文作成の時に見直せるよう,また後輩たちに,この難しさと面白さを伝えていきたいです.

 

統計学もレクチャーできるくらいになりたいものです